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ホワイトペーパーとは？？
インターネットで仮想通貨について調べていると「ホワイトペーパー」と言う言葉をよく見かけます。草コインを買うなら、ホワイトペーパーを見てから買いなさい！！といった記事をよく見かけますが、ホワイトペーパーとは一体なんでしょうか？
ホワイトペーパーを直訳すると白紙ですね・・・この仮想通貨ブームは白紙に終わってしまう？？と名前だけ聞くと嫌な響きですが、そうではありません。日本語で訳すとすると「〇〇白書」と言うとピンとやすいと思います。元々は、イギリスで国会に提出される報告書のことをホワイトペーパーと行っていたらしいのですが、日本では一般的に政府からの年次報告書のことを指すそうで、経済白書や中小企業白書などが有名ですね。最近では、企業からの年次報告等もホワイトペーパーと呼ばれるようになっています。イメージとしては、その年に起こったことや調査結果を国民やステークホルダーに知ってもらうための刊行物のような役割を果たします。
仮想通貨の場合のホワイトペーパーは、どちらかと言うと「そのプロジェクトがこれからどのようなことを目指しているか？」を表明する文書のように使われることが多いようです。そのため、実際に起こったことではなく、あくまでこれから何をしたいのかという「未来の姿」であることがほとんどのため、技術的にも社会的にも、そのプロジェクトは本当に実現可能か？を見極める目が非常に重要です。
BitCoinのホワイトペーパー
BitCoinのホワイトペーパーはこちら → Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System
こちらの論文は2009年に「サトシ ナカモト氏」によってネット上に公開されました。日本人のような名前をしていますが、その本当の姿は現時点で誰もわかっていないそうです。
原文は当然英語ですが、CoinCheckさんのWEBサイトに日本語に翻訳されている文書を見つけたのでリンクを貼っておきます。 → 日本語で読むビットコイン原論文
要約（間違ってたらごめんなさい）
０．概要
金融機関や第三者機関を介さない電子マネーであり、２重取引を防止し、過去の改ざんを防ぎ、仕事の結果最優先のシステムで外部からの攻撃をスルーし、参加離脱が自由である。
１．イントロ
・信頼を要する機関の仲介で発生するコストを抑制し、仲介手数料を抑えた少額取引を実現する。
・有形物を信頼の証とするため、対面取引では実現できていたがネット上では実現できなかった二者間の直接取引を暗号化によって実現する。
・非可逆的で時系列を第三者が簡単に検証できる、かつ分散型ネットワークを用いることで改ざんと二重支払いを防止する。
・この仕組みは、悪意を持つ人たちより善意的な人たちの仕事量が多い限り安全である。
２．取引
・各取引の記録は過去の情報を元に作られる。
・取引の正当化を証明するための中央機関を持たない。
３．タイムスタンプ
・取引記録の日付をチェーン状に繋げていくことで、チェーンが長くなるほど存在価値を強くする。
４．プルーフオブワーク
・過去の取引を含めた記録等をハッシュ化する。ハッシュ化された文字列の先頭にいくつかのゼロを加え、その値を満足する特殊な文字列をCPUパワー（コンピュータの演算）で見つけ出す。
・この演算には多くのCPUパワーを必要とし、多くの演算を行った人たちによって長いチェーンが作られていく。
・悪意のあるものは、良心的（多くの労力を払った）な人たちの作ったチェーンを全て書き換えなければいけないため、改ざんする為のコストが大きくなり誰もやろうとしない。
５．ネットワーク
・取引は多くのノードに通知され、ブロックに記録されていく。
・各ノードが演算を行い、最も早く解を見つけたものがその結果を他のノードに渡して他のノードは自らの持つデータと照合する。
６．インセンティブ
・プルーフオブワークで一番初めに特殊な文字列を探し出した人に通貨をプレゼントする。
・高コストを支払って改ざんするよりも真面目に仕事をした方が効率が良いため、改ざんを防止することになる。
７．ディスクスペース
・一番長いチェーンのブロックを参照することで、過去のデータを破棄することができディスクスペースを節約できる。
８．簡易支払い検証
・各ノードは全ての取引の情報を網羅していなくても、最も長いチェーンを持つブロックをコピーすることで正当性が確保できる。
・不正を検知したら、不正な取引とブロック全体をダウンロードし検証できる。
９．価値の結合や分割
・取引には複数のインプットと多くても２つのインプットでことが足りる。
１０．プライバシー
・従来の銀行では、アクセスを関係者と信頼できる第三者機関に限ることでプライバシーを確保していたが、公開鍵を暗号化することで「誰かが誰かにコインを送った」ことはわかるが、それが「誰か」はわからない。
・リスクがあるとすると、鍵の所有が漏れた時である。
１１．計算
・悪意のあるものがプルーフオブワークにて、他者よりも早く偽のチェーンを使ったとしても、他のノードが検証することで悪意あるブロックは拒絶される。
・仮に、悪意あるものが他者よりも悪意ある偽のチェーンを作り続けていくとする。そして良心的なノードが作り続けるチェーンを追い越す確率を検証する。
P = 良心的なノードが次のブロックを見つける確率
q = 攻撃者が次のブロックを見つける確率
qz= 攻撃者がzブロックの遅れから追いつく確率
p＞qと仮定すると（善意＞悪意）、追いつかなくてはならないブロックの数が増えるにしたがい確率は指数関数的に下がり、追いつく確率はありえないほど下がる。
・次に偽の取引を作り出してから、受け手がそれに気づくのに必要な時間を検証する。攻撃者の進捗を以下の計算式で求める。
悪意あるものが追いつくことができる確率は
上記計算式をプログラムで実行すると、追いつく必要のあるブロック数が増えるほど確率は指数関数的に下がっていくことが検証できる。
１２．結論
・この論文では、信用に依存しない電子取引システムの提案である。良心的なノードがCPUパワーの過半数を締める限り攻撃者の攻撃が事実上不可能になるP2Pネットワークである。
・単純なため堅固なネットワーク。協調性の低いノード。特定される必要のないノード。自由に接続・離脱できるノード。離脱している間もPLWによって取引を承認・非承認することができる。
・必要なルールと報酬はこのメカニズムにしたがって実行できる。
最後に
以上がビットコインのホワイトペーパーの要約です。私自身読んでみて、正直これだけでブロックチェーンの仕組み全てを理解することは不可能でした。ただ、サトシナカモト氏がこの仕組みを使えば特定の人間や機関がコントロールしないと成り立たなかった信用取引を可能にできる！という未来をビットコインに託したことは理解できました。
サトシナカモト氏は、ジェネシスブロック（一番最初のブロック）に以下のような言葉を書き込んでいます。
The Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for banks
これは2009年1月3日のイギリスのTimes紙の見出しに書かれていたものだそうです。この記載によって、この時期以前にビットコインが作られた可能性を無くしたとともに、度々銀行や大手企業に介入する政府の姿勢を指摘しているものと言われています。政府の介入がいいかどうかは色々あると思いますが、自身の思いを未来に託したナカモト氏のロマンに感動しますね。
それでは、長文にお付き合いいただきありがとうございました。次は、他の通貨のホワイトペーパーを紹介していきたいと思います。
