ホワイトペーパー紹介 その3(RIPPLE:XRP編)

Ripple

今回は人気通貨のRipple(XRP)のホワイトペーパーをご紹介します。原文ですが、どうやらそれらしきものを見つけました。こちら → https://ripple.com/files/ripple_solutions_guide.pdf

全て英語ですが頑張って要約してみます。

要約

・現在の決済の仕組みは非常に非効率である。特に国境を超えた取引はコストがかかる。その原因は、分断化された各機関に信用を任せるからである。それによる、コストの高さや不便さはエンドユーザーに大きな影響を与えています。

・Rippleでは、世界中を結ぶ共通の銀行用ネットワークを提供します。RippleNetを使うことで、銀行は堅牢で標準化され、また取引にかかるたくさんのデータをやりとりすることができます。Rippleの分散化テクノロジは、コスト削減、処理速度向上、手数料や処理にかかる時間を明確にすることで現在の金融インフラよりも優れています。

・Rippleには2つの参加形態があり、①Network Members(銀行や決済代行会社)。②Network Users(小売業などの法人や個人)。

①Network Members

  • 法人と消費者の支払いを処理する銀行や、他行への支払い処理を提供する事業者は、RippleNetを活用することで既存の顧客へのサービスを強化できます。
  • 決済代行会社:銀行への流動性を向上し、取引を拡大しようとしている支払業者に利用できます。

②Network Users

  • プラットフォーム事業者:サプライヤーや小売業者、従業員に大量で低価格の支払処理を行う事業者に利用できます。
  • 企業の財務部門:資本効率、可視性、管理の効率性を必要とする、世界規模のサプライチェーンに大量の支払い必要とする企業に利用できます。
  • 銀行と決済代行会社以外:銀行や決済代行だけではなく処理にかかるコストと支店銀行非効率克服したい事業者。
  • 消費者:銀行や決済代行会社を通じてグローバルな送金を行う消費者に対して、費用対効果が高いリアルタイムで追跡可能な選択肢を提供します。

・現在の銀行には新たな能力が求められています。今までの銀行のようにコストが高く高額の取引にしか使えないのではなく、少額取引の送金や決済にも使える必要があります。今の銀行では、コストが高く処理に時間がかかり顧客満足度が乏しくなる。Rippleでは、リアルタイムな取引、確実な処理で決済のリスクを取り除き、全ての関係者間に豊かなメッセージ性を提供します。

・Rippleのソフトウェア「xCurrent」では、銀行に新しい国際取引の仕組みを提供し、コスト削減による差別化を支援します。また、既存のリスクやコンプライアンス、セキュリティに適合することができるため銀行のニーズを満たすことができます。RippleNetの全てのメンバーは、標準化された技術であるxCurrentによって接続されます。xCurrentは、スピード・透明性・効率性に優れた取引ができる世界初のRTGS(real-time gross settlement)システムです。Rippleは銀行の既存インフラに適合するように設計されているため、統合にかかる費用と混乱を最小限に抑えます。

・解決策

  • Messenger
    MessengerはAPIベースのメッセージングモジュールです。RippleNetに接続された銀行間の双方向通信を可能にします。 Messengerのインスタンスに接続することで、口座情報・リスク情報・手数料・為替レート・支払い詳細・資金送金時間をやり取りします。 情報が間違っていることを送金開始前に知ることができるため効率が大幅に向上します。 送金者によって取引が承認されるとすべての当事者に通知します。
  • FX Ticker
    FX Tickerは、リクイディティプロバイダーが為替レートをポストすることを可能にすることで台帳間の交換を容易にするxCurrentのコンポーネントです。このコンポーネントは、元帳のペアの間の為替レートを提供します。さらに、アカウント、通貨、認証資格情報を追跡します。
  • Validator
    Validatorは、支払いの成功・失敗を暗号で確認するコンポーネントです。これは、決済リスクを除去し、決済の遅延を最小限に抑える方法です。
  • ILP Ledger
    ILP Ledgerは、各取引銀行の補助元帳です。 取引当事者間の貸方・借方および流動性を追跡するために利用されます。 決済はミリ秒単位で行われるため、低価格での決済を可能にします。ILP Ledgerは、取引銀行に24時間365日の可用性を提供するように設計されています。

・主なメリット

  • 銀行の新規顧客獲得と顧客維持を支援します。
    高速でオンデマンドな費用対効果が高い、また追跡可能なサービスを提供することで既存顧客の再参加と維持する機会を提供する。また、決済代行会社の仲介を支援することで新規顧客獲得を後押しする競争優位性を提供します。
  • 運用コストを削減します。
    xCurrenにより、銀行は、送金者・受取人・手数料・配送見積もり、および支払い情報をより効率的にやりとりすることができ、国際支払処理の運用コストを削減することができます。財務運用コストは、資本逃避の要件、流動性コスト、取引相手の倒産リスク、コンプライアンス維持にかかるコストを削減することで減少します。これらのコストはxCurrentにより減少します。

・事例

  • 年間支払: $1億
  • 年間支払: 20万回
  • 平均支払サイズ: $500
  • カナダドル-USドル

支払ごとの手数料

現状:$5.56

RIPPLE:$2.21 (60%削減)

・RippleNetのルールとガバナンス

  • RippleNetの価値は、標準化された強力なテクノロジーとグローバルなネットワーク。 一貫した一連のルールと基準。業界リーダーの諮問委員会で構成されたガバナンス体制にあります。RippleNetに参加するには、メンバーとユーザーはRippleと契約を締結し、ルールブックに記載されている規則と基準に従うことで、非効率な二国間協定を排除します。ルールブックの目的は、すべての参加者との最適で継ぎ目のない枠組みを作成することです。 ルールブックには、ネットワーク参加者の権利と義務、ビジネスおよび運用ルール、およびルールブックの変更プロセスに関する詳細情報、詳細な技術標準が掲載されておりRippleNet全体での整合性を確立します。また、Rippleは業界リーダーを含む諮問委員会に積極的に相談します。諮問委員会では、Rippleのルールと基準が現有の銀行とその顧客の正確なニーズを満たすことを保証するためのガバナンスを提供します。

・コンプライアンス

  • ソフトウェアプロバイダとして
    Rippleは、顧客のリアルタイムな支払いを容易にするライセンスソフトウェアと統合サービスを提供します。銀行のxCurrentの使用は、各国のルールに応じて、規制当局の監督、承認、審査を受けることがあります。過去2年間、Rippleは中央銀行や規制当局と協力して、RippleやxCurrentのエコシステムにおける役割だけでなく、分散ネットワーク上でそれらを伝えてきました。Rippleは各銀行と連携して、統合に先立つ規制要件を満たしているかどうかを特定し支援します。
  • プライバシーの保護に関して
    xCurrentは、銀行間の安全な接続を確率します。 すべての送金情報は支払い当事者間で直接送信され、リップルも第三者もこのデータにアクセスすることはできません。xCurrentを使用して送信されたデータは、HTTPSを使用して安全に転送され、SSL暗号化によって保護されています。 さらに、RippleはOAuthとクライアントのSSL証明書認証の組み合わせを使用して、取引の接点と終端を保護します。アクセス可能なのは取引の一部である銀行のみです。

・口座情報とマネーロンダリングに関して

  • xCurrentを支払いに使用しても、銀行のコンプライアンス責任には影響しません。Rippleの製品は、銀行の既存顧客が慣れる手間や銀行への評価、送金監視プログラムを補完するように設計されています。リップルは、銀行に課せられるコンプライアンスや法令への義務を変更するものではありません。関連規制の遵守を支援するための設計をしています。マネーロンダリングに関しては、リアルタイム性を考慮すると、制裁審査のタイミングを変更する必要はあるかもしれません。Ripplの持つ取引スピードを生かすために、銀行は制裁審査プロセスを強化しなければいけないかもしれませんが、各銀行の持つ能力・スピード・コンプライアンスによって変わってくるでしょう。

・料金の事前開示

  • xCurrentは取引開始前に、手数料や為替等を明確にすることで銀行がエンドユーザに対して総費用を正確に見積もることができます。

・セキュリティ

  • 送金データの分離
    xCurrentで決済システムを実装すると、取引支払データ決済データ間を分離しセキュリティレイヤを含みます。取引の検証作業では、暗号化されたケースのみを認識します。以下のタイプの支払データは、各銀行によってのみアクセス可能な内部データベースに保存され、管理されます。
    ・送金者と受益者の識別子
    ・送金者および受益者に必要なPII / CIP情報
    ・請求書番号などの支払情報
    ・追加のメタデータ
  • 安全なコミュニケーション
    銀行のシステムは、HTTPS接続を介して安全にxCurrentと通信し認証にはOAuth 2.0を使用します。HTTPSは、Messenger、Validator、ILP Ledger and、FX Connectorでも使用されます。

勝手にまとめ

長かった・・・ここまで翻訳するのに随分と時間がかかりました。しかし、おかげでとても勉強になりました。Rippleの特徴を一言で言うと、銀行間(特に国境をまたいだ)の取引を低コスト・高速・安全・低労力で行うシステムを提供するということです。BitCoinとの大きな違いは、BitCoinは現有の銀行そのものを必要としないような仕組みを作り上げようとしたこと(本当にできるかは別)に対して、Rippleは現有の銀行の仕組みをできる限りそのまま使えるようにした、銀行間を結ぶインターフェースの役割を果たそうとしているようです。また、現行の法律に準拠できる、というか銀行にはその役割を今のまま負ってもらえるようにすることで、社会的な混乱を極力抑えようとしている意気込みが感じられます。

つい先日、ドイツとフランスの財務省が、3月に行われるG20で仮想通貨の規制に関する共同提案を行うことを発表しました。個人的に、2018年以降の仮想通貨市場は実用化が早いか規制が早いか?がカギになってくると思っています。現行の金融システムとの協調性を重んじているRippleの姿勢に肩入れする政府や大手の金融機関が現れたらそこそこ広がっていくのではないかと思います。いずれにせよ、個人的にはインパクトは少ないかもしれないけれど、今の仮想通貨に対する情勢的には非常に面白いものだと感じました。

2018年1月22日現在、Rippleはまだまだ他の通貨に比べて1コインあたりの単価がやすいため、オススメ銘柄としておきます!!

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